文化を創る - SaaS企業の人事部長が語るバリューワークショップの価値
TOKIUMが重視するバリュー
ーまずはTOKIUMのバリューについて教えてください。
当社のバリューは、各社員が日常業務で重視すべき価値観を示しており、仲間へのホスピタリティを大事にする「Teamwork」、速く実行することに価値があると考える「Move Fast」、お客様に本質的な価値提供を行う「Customer Success」の3つで構成されています。 これらのバリューは、2019年、約30人程の社員規模であった頃に策定しました。
ーバリュー策定のきっかけを教えてください。
それまでは阿吽の呼吸のような形で、特に価値観を明文化せずともスムーズに意思疎通できていました。しかしながら、組織規模が30人を超え、構成メンバーの多様性が高まる中で、徐々に各自の大切にする価値観や当たり前をすり合わせる必要が出てきました。そんな課題感から、TOKIUMの社員が共有すべき価値観を具現化する必要性が高まり、バリューの策定に至りました。
ーどのようにバリューを策定したのでしょうか?
各社員が日常で他の社員の素晴らしい行動や、助けてもらった経験を通じて「自分たちらしさ」を感じるエピソードを共有し、それらから共通の価値観を言語化するミーティングを開催しました。その上で、それぞれの価値観を追求することで事業が成功につながるよう、代表の黒﨑がバランスを整え、正式に3つのバリューとしてリリースしました。
ちなみに、このミーティングを通じて、メンバーの活躍を共有することの価値の高さを発見できました。メンバーの知られざる活躍を認識することで、チームの士気が高まったのです。結果、この取り組みは日常でも続けていきたい!ということになり、全社の朝会で毎日1人ずつ「身近でバリューを最も体現している社員」を紹介する「マイバリュー賞」という取り組みが始まりました。
バリューワークショップはバリュー浸透の鍵
ーバリューワークショップの具体的な内容について教えてください。
バリューワークショップは、3ヶ月に1度、全社員が参加するディスカッション形式のワークショップで、2021年1月に第1回目を開催しました。実際の仕事の現場で起こりそうな人間関係の衝突やトラブルをケーススタディとして提示し、そのケースをもとにTOKIUMのバリューに照らして本来取るべき行動や改善すべき点を議論します。
この議論を通じて、会社全体が重視すべき価値観を再確認できます。また、日常業務でコミュニケーションや利害の衝突が起こった場合に建設的な議論を行うための予行練習のような役割を果たしています。TOKIUMの人間関係や組織文化のメンテナンスと言えます。
また、ディスカッションは、部署や役職が異なる社員6名程度で構成される班で行われます。TOKIUMには、役職や年齢によらず、議論を通じて結論を導いていくフラットな社風があり、どのチームも白熱した議論を繰り広げています。
ーバリューワークショップを開始するに至ったきっかけは何ですか?
バリューをもっと浸透していきたいという思いから始まりました。
前述の「マイバリュー賞」もあることから、バリューについてはすでに十分に認識されていました。しかし、日常業務においては、バリューを意思決定の指針として活用したり、衝突が起こった際にバリューに照らして考えたりするには壁があるように感じていました。
そこで、バリューについてより具体的かつ実用的に考える機会が必要だと考え、バリューに照らして日々の業務を見つめ直すワークショップを企画することになったのです。
ーバリューワークショップを行う意義や効果について教えてください。
まず第一に、バリュー浸透のために効果的であると感じています。ワークショップ実施後のアンケートでは、「バリューを日常業務で体現することの重要性を再認識できた」との意見を多くいただきます。また、実際の業務で難しい状況や利害の対立が生じた際に、「これはバリューワークショップのような状況ですね」という発言も散見され、バリューを基に考える習慣が築かれていると感じています。
第二に、バリューワークショップは、目の前の事象に対して様々な視点に立って考える機会を提供しています。業務の現場で衝突が起きた際に、その都度バリューを意識し、相手の立場で物事を考えるのは容易ではありません。バリューワークショップでは、議論を通して部署や役割によって見えている景色が異なることを理解でき、自分の視点が全てではないことを定期的に思い返すことができます。
運営の工夫と題材の作り込み
ーワークショップの運営で工夫している点はありますか?
1つ目は、ディスカッショングループの構成メンバーについてです。部署・役職・性別等がごちゃ混ぜになるようシャッフルすることで、構成メンバーの多様性を担保しています。立場や視点が異なるメンバーで議論することで、様々な角度からケースを紐解いていけるようになります。
2つ目はディスカッションの題材についてです。ケーススタディを作成する際には、異なる立場や視点を持つ複数の人物を登場させることで、議論に深みを出しています。また、社内で既に起こっていそうな課題や、今後の組織拡大に伴って発生する可能性のある課題に焦点を当てられるよう、テーマ選びをしています。
ー今までで一番盛り上がった題材は何ですか?
2023年2月に実施した「初めてのリーダー経験でのほろ苦い失敗」に関する議論は、特に盛り上がりました。挑戦機会の多いTOKIUMでは、疑似体験したことがある方も多かったのではないかと思います。
TOKIUMには、たとえ十分な経験がなかったとしても、積極的に打席に立つ中で挑戦・失敗を通じて学んでいく文化があります。しかし、期日が近づいた時に大きな軌道修正が必要と発覚し、期日の兼ね合いで上司に業務を巻き取られるといった状況は現場でも発生しているのではないかと思います。挑戦を続ける文化を維持しつつ、マネジメント能力を向上させる必要性を意識して、このテーマを設定しました。
最後に
ー今後のバリューワークショップで改善していきたい点はありますか?
現在の多様性を重視したチーム構成に加え、立場や状況の近い社員同士でのワークショップも開催していきたいと考えています。例えば、部長だけのワークショップや、直近リーダーに就任した社員だけでのワークショップ等です。同じ立場の者同士だからこその深い議論ができるのではないかと考えています。
また、お題の選定に関しても継続的に改善していきたいと考えています。お題の選定は、議論を活性化させるうえで非常に重要な役割を果たしています。社内のリアルな現場の声を拾うことで、さらに有意義な議論を呼び起こせると考えています。
ー最後に抱負をお聞かせください。
コーポレートカルチャー部では、「事業成長に資するカルチャー」を一つのキーワードにしています。バリューワークショップは、ただ社員同士で仲良く雑談をするために行っているのではありません。事業成果のために全社員の時間を投資して行っている取り組みです。
TOKIUMとして重視する価値観を組織全体で強く意識し、全社員がそれを体現することで、より多くのお客様に喜んでいただける会社へ成長できると信じています。
TOKIUMの志である「未来へつながる時を生む」べく、コーポレートカルチャー部としても挑戦を続けていきます。