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【人材育成のプロ × 若手活躍企業TOKIUM代表が完全解剖】 "顧客志向"こそが長期的なキャリア形成の鍵を握る理由

先行き不透明な時代、キャリア選択で悩む若者は少なくない。キャリアの歩み方やプライベートとのバランスの取り方の正解が分からず、就職活動中や入社後に頭を抱えるケースも多い。

年間100社の人材育成・組織強化サポートを行う株式会社Momentorの代表/坂井風太と、スタートアップの中でも新卒文化が根付き、若手活躍企業としてメディア掲載実績のある株式会社TOKIUMの代表/黒﨑賢一による本対談では、長期的なキャリア形成の鍵に迫る。

その答えは、「若手時代に ”顧客志向” を身につけられる環境に身を置くこと」

人材育成のプロと若手活躍企業の代表が語る、長期的なキャリア形成において ”顧客志向” が鍵を握るその理由とは。

<プロフィール>

坂井風太
株式会社Momentor 代表取締役社長。
1991年生まれ。2015年にDeNAへ新卒入社。旅行部門の企画業務等を経験したのち、子会社であるエブリスタとDEF STUDIOSの取締役に就任。翌年にはエブリスタ代表取締役に就任し、経営改革とM&A業務を経験。2022年DeNAとデライト・ベンチャーズ(Deight Ventures)より出資を受け、人材育成・組織強化サポートを行う株式会社Momentorを設立。

黒﨑賢一
株式会社TOKIUM 代表取締役
1991年生まれ。筑波大学在学中に家計簿アプリ「Dr.Wallet」の開発を始め、在学中の2012年に株式会社TOKIUMを共同創業。累計約66億円を調達し、法人の支出管理業務における課題解決に取り組む。人々の無駄な時間を減らし豊かな「時を生む」サービスの展開を目指し続けている。

2人の出会いのきっかけは、TOKIUMがマネジメント研修を依頼したこと

ー2人の出会いのきっかけについて、簡単に教えてください。

黒﨑:TOKIUMでは、事業・組織が急拡大する中で、部署運営やメンバーマネジメントにおける、成功事例や業務の最適な方法等のベストプラクティスの蓄積・共有が追いついていないことが課題となっていました。

社員それぞれのやり方で部署運営やマネジメントが行われており、マネジメントにおける定番の落とし穴や、成果が出るマネジメントの方法論を社内で共通認識として築きたいと考えていました。

そんなときに、坂井さんの存在を知りました。膨大な量の論文に基づき、マネジメント理論の構築と実践を繰り返して、現場で成果を出せる方法を追及されていることから、再現性が担保された方法論を学ぶことができると考えました。

また、坂井さん自身も事業責任者を務められたご経験があり、マネジメントにおける課題を実体験を通して痛感されているというところも信頼できると考えたポイントで、マネジメント研修をお願いすることになりました。

若手時代に選ぶべき企業の特徴とは?

ー変化が激しい時代、企業選びやキャリア選択に悩む人も多いと思います。人材育成のプロから見た、若手時代に選ぶべき企業の特徴を教えてください。

坂井:若手時代には、仕事における良いマインドセット”を身につけられる企業を選ぶべきです。

有名な経営者である稲森和夫さんが重視されていた思想として、「人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の3つの要素の掛け算で決まる」というものがあります。

<参考ページ>

稲森和夫OFFICIAL SITE > 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

仕事の成果を高めるために各自が身につけるべきものは、”マインドセット”(考え方)と ”ポータブルスキル”(能力)に大別されます。

仕事におけるマインドセットは最初に入った会社の上司の影響を大きく受ける上、一度癖がつくと再学習は難しいものです。その一方で、課題解決能力やロジカルシンキング等に代表される”ポータブルスキル”は、後からでも学び直すことができます。

そのため、若手のうちは、仕事の成果につながる "マインドセット" を優先的に身につけるべきです。

仕事における良い"マインドセット"とは?

ー”仕事における良いマインドセット”というキーワードが出ましたが、その内容について具体的に教えてください。

坂井:良いマインドセットは、大きく3つの要素から成り立つと考えています。顧客志向、利益の重み、やり抜く姿勢です。

まず初めに、顧客志向とは、お客様のために働く姿勢のことです。

仕事とは、突き詰めればお客様の役に立ち、その対価としてお金をいただく行為であるにも関わらず、実際は顧客への提供価値を差し置いて、費用対効果や上司からどう言われそうかばかりを考えてしまうこともしばしば。

「お客様に喜んでいただけるか」を判断の中核に据え続けるのは、誰しもができることではありません。

2つ目の利益の重みとは、自分で利益を生み出す難しさを痛感した経験があり、会社にとってのお金の重さを知っていることです。

これを知らないと、お客様にとって意味のない施策に平気でお金と時間と労力を投下する人になってしまいます。私が真に利益の重さを理解したのは、自身で起業をした後でした。

元々、前職のDeNA時代に子会社経営を担っていたため、PL意識・コスト意識は会社員としてはかなり高い方であったとは思います。ただし、特に起業初期は、銀行口座の預金を見ると震えることもあり、キャッシュフローをより一層意識するようになりました。

「成果を上げても上げなくても自動的に給与が支払われる環境」とは異なり、「自分で売上を作らないといけない」という状況で仕事をするという経験は、本当の意味でビジネスパーソンとしての「施策の選球眼」「時間の投資意識」を磨いてくれるものだと思います。

この意識が「利益の重み」であり、湯水のように半自動的にお金が出てくる環境とそうでない環境では、発達が異なってきてしまいます。

3つ目に重要なのは、最後まで妥協せずにやり抜く姿勢です。

キャリア初期に、手を抜くことに慣れているメンバーと働くと、 ”そこそこの仕事” で満足する癖がついてしまいます。

例えば、「まだ直せるところはあるけど、時間もかかるしこれくらいで良いか」と手を抜いて働く姿勢が身についてしまうと、お客様に満足いただけるように調べ抜き、考え抜いて「質・量ともに妥協しない、やり抜く人」に勝つことはできません。

実は、”顧客志向”が、自身の成長へと繋がる

坂井:”仕事における良いマインドセット” を身につける重要性についてお話してきましたが、ご自身のキャリア形成/成長にどのような影響があるのか、ピンと来ていない方もいるかもしれません。

そこで次は、マインドセットがキャリアに及ぼす影響について説明していきます。ここで鍵を握るのは、「顧客志向が生み出す成長の好循環」です。

両者の決定的な違いは、「お客様のために何ができるか」を考え抜いているか、それとも自身の成長を最優先に考えているか、にあります。

仕事における成長とは、身の丈以上の仕事にチャレンジし、成功/失敗を伴う試行錯誤から成果を出すポイントを学習することで、より大きな貢献ができるようになることです。

チャレンジの機会を多く得て学習量を増やすためには、顧客志向を極めるに限ります。実際、偉大な成果を出している経営者や活躍人材のほとんどは、自身の成長のためというより、お客様のために仕事をしているのが実態だと認識しています。

黒﨑:TOKIUMでも、顧客志向でお客様に向き合う社員が、成長の好循環に乗っているところを何度も目にしました。

中でも印象に残っているのは、当時新卒3年目だった営業メンバーの成長です。TOKIUMは、判断基準として ”カスタマーサクセス” を掲げており、彼女もこの価値観に共感して入社をしてくれました。

もともと相手に喜ばれることにやりがいを感じる性格でしたが、営業活動を経験する中で顧客志向が一層強まり、誰よりも「目の前のお客様に喜んでもらえる提案をしたい」と強く思うようになったと言います。

お客様に喜んでいただくため、お客様へのヒヤリングを重ねました。その中で、お客様にご満足いただくためにはある機能を作るべきと気づき、社内で機能の必要性を訴え、理想の運用の実現までこぎつけました。

顧客志向で向き合った経験を通して、「お客様と一緒にサービスを良くすることができた」という成功体験を得ると同時に、今ではプロダクトの開発方針を決める重要な役割を任されるまでに成長しました。

好循環に乗るために、身を置くべき学習環境とは?

ー”成長は、お客様のために学習し実践する中で形成される” とありましたが、その学習自体の質を高めるために必要な環境についても教えてください。

坂井:学習の質が最大化される企業の環境は、挑戦と振り返りを繰り返す ”経験学習” をサポートしてくれる人がおり、 ”知的謙虚さ” を持つ人たちと働くことでより柔軟に学び続け、自身の成長を喜んでくれる人との ”発達的ネットワーク” を張り巡らせることで成長を実感する、という3つの循環から形成されます。


坂井:1つ目の ”経験学習” とは、自分の能力以上の仕事への挑戦とその後の振り返りを通じて、そこから得られた学びを再現性のある状態にし、次により難しい仕事に挑める状態にすることです。

このサイクルを自分で回せるとベストですが、初めの頃は上司にサポートしてもらうところから始められると良いでしょう。

ここで重要なのは、「今回よくできていたね。苦戦していた前回との差は、どこにあったと思う?」「今回の業務のコツは何だろう?」等、振り返りの際に言語化補助を行い、学びの整理を手助けしてくれる上司の下で学ぶことです。

黒﨑:TOKIUMでも上司とメンバーの間で1on1を行う際に、経験から学びに繋げるための問いかけをするよう促しています。これによって、メンバーがまた同じ状況に遭遇した時に、もっと上手く対処する方法を考える癖をつけるサポートを行えるようになりました。

坂井:2つ目の ”知的謙虚さ” とは、自分のことを全知全能だと思わず新しいことを学び続ける姿勢のことです。

変化が激しい現代では、これまでの当たり前が通用しなくなることがあります。謙虚に学び続けて変化に対応することで、変わりゆくお客様の需要にも答え続けられるようになります。

自分が知的謙虚でいる意識を持つことに加えて、周りで働く人も知的謙虚さを持ち合わせている環境で働くことが理想ですね。新しいことを学び、柔軟に考えを変えられる組織の中にいると、個人としての知的柔軟性も高まりやすくなります。

黒﨑:TOKIUMは、勉強やスポーツ等をレベルの高い組織で取り組み、自分より優れている人がいる事実を客観視できている人や、留学のような海外経験を通して異なる価値観を持った人がいることを理解している人も多く採用しているため、知的謙虚さに長けた社員が多いです。

彼らが、周囲の意見やフィードバックをしっかりと受け止め、自分のやり方や考え方をアップデートし続ける姿勢を見せ続けたことで、組織全体として謙虚に学ぶ姿勢が形成されてきたと思います。

坂井:3つ目の ”発達的ネットワーク” とは、自分の成長を楽しみにしてくれる人との人間関係のことです。

例えば、上司から「昔は苦労していたこの部分ができるようになっているね。成長を感じられて嬉しいよ」と声をかけてもらうと、成長を喜んでくれる味方が近くにいると感じられますよね。

マネジメント研修を行う中で、TOKIUMでは発達的ネットワークが構築されていると肌で感じました。私の研修では、最後の3回でこれまで学んだ内容をもとにした相互フィードバック会を行うのですが、その際に新卒3年目の方が後輩に対して去年と比べた成長ポイントを伝える等、若手の社員の方々が日々後輩の成長に意識を向けて、それを本人に伝えている姿を何度も目にしました。

ここまで若手同士で自発的にフィードバックをしたり仲間の成長を促す企業は珍しい、と感じたことをよく覚えています。

坂井のプログラムに、経営層+チームリーダー層が60名規模で参加しており、組織基盤の構築に注力している点に「環境投資への本気」を感じます。そもそも、経営層としては「自分は現場マネジメントに関係ないから、マネージャー陣だけが受講してよ」「自分たちは学ぶ必要なんてないから」と言うこともできてしまうわけですが、経営層が「自らが率先して新しいことを学ぶ」を徹底していることも「知的謙虚さ」の現れですよね。

黒﨑:そう言っていただけて嬉しいです。TOKIUMでは褒める文化があり、これが成長意欲の向上や良好な人間関係の構築に繋がっています

例えば、「RECOG」という社内SNSツールを活用して、自分が見つけた仲間の良かった行動や感謝したいことを全社に向けて発信する取り組みを行っています。また、全社朝会では、毎朝1人がナイストライをした人や感謝を伝えたい相手への賞賛コメントを発表しています。

これらの活動から、自分が気づかなかった仲間の挑戦や良さを新たに知ることができたり、事業・組織が急拡大する中でも組織内の安定感を維持することができています。

長期的に活躍する基盤を、若手のうちに築く

ー最後に、お二人から読者の方へメッセージをお願いします。

坂井:キャリア選択で悩んでいる方も多いと思いますが、就職活動や転職活動をされている方は、 ”若いうちに仕事に対する良いマインドセットを身につけられる企業” を選ぶべきです。

ポータブルスキルは後でいくらでも身につけることができますが、マインドセットに関しては、一度間違った癖がつくと再学習が難しく、これからの長いキャリアを大きく左右します。長期的に活躍するための基盤を、若いうちに築いてください。

黒﨑:お客様と仲間を大切にしながら謙虚に学習を続けて、会社とともに成長していきましょう。

TOKIUMは、新卒4年目が部長に就任する等、若手メンバーが続々と活躍している環境があります。お客様の「未来へつながる時を生む」第一歩を、TOKIUMで踏み出しませんか?

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